日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2023年11月26日会議で意見が出るようにするには?


★会議で意見が出ない


「会議でなかなか意見が出ないので困っているんです」

こうした声をよく聞きます。

私は8年前からファシリテーションセミナーの講師を務めています。

そのセミナーの冒頭、参加者に普段の会議で課題に感じていることをグループで話し合ってもらいます。

その際、必ず出てくるのが『意見が出ない』という話です。

今後の方針を決めたり、制度やルールを制定・改定する会議で意見が出ないのは何とももどかしいものです。

では、どうすれば意見が出る会議になるのでしょうか。

  



★意見を持たない人は会議に参加させない


会議で意見が出ない理由は幾つかあります。

1つ目は、意見を持たない人を出席させているからです。

会社では、『物事を決める人』と『決まったことを実行する人』の2種類がいます。

この2つ目の『決まったことを実行する人』を意思決定会議に出席させても意味がありません。

「決まったことを実行するのが自分の仕事だ」と思っているので、意見を言うという意識がないからです。

しかし、こういう人を会議に出席させていることがかなり多いのです。

それは、「このテーマに関係しているのだから出席させておこう」という思いがあるからでしょう。

しかし、実行するために決定事項がどういうものか知らせるのであれば、会議の議事録を配布して読んでもらえば済むことです。

情報を共有するために1時間会議に出るよりも、議事録を5分で読んでもらう方がはるかに生産的です。

 

意思決定を目的とする会議であれば、『意思決定する人』と『結果を遂行する人』に分け、『意思決定する人』に絞って出席させましょう。

 

★事前にテーマを知らせておく


意見が出ない2つ目の理由は、出席者が会議のテーマや論点について考えていないからです。

そのテーマについて意思決定すべき立場の人でも、常にそのことについて当事者意識を持って考えているわけではありません。

例えば、給与テーブルの改定をテーマにした会議で、出席者の中に給与計算を主に担当していている人がいるとします。

改定後の手続きなどに問題がないか判断するために、その人を会議に出席させるのは必要なことです。

しかし、その人は普段の仕事で手一杯で、会議に出席するまで改定について考えたことがなかったのなら、意見はすぐに言えないでしょう。

『なぜ改定するのか』『いつから誰を対象に改定するのか』『改定の内容はどのようなものか』などを理解することに時間がかかり、それに対する自分の見解をなかなか持てないからです。

 

会議に案を提示する人は、そのテーマについて時間をかけて深く考えていますが、会議に参加する人はその案をはじめて見るので、温度差があります。

意見が出る会議にするためには、この温度差をできるだけ少なくする必要があります。

そのために、出席者に事前に会議で使用する資料を配布して目を通してもらい、どういうテーマで何を決めたいのか、その際の論点は何か、などを理解してもらいましょう。

できれば、短時間で確認できるよう、内容をサマリーしたものをつけるとよいでしょう。

とは言え、事前に配布しても目の前の仕事を優先してしまい、事前配布しても資料を読まない人もいるでしょう。

そのために、「この点について一人ずつ意見を聞きたい」と発言を求めることを明記するなどしておけば、当事者意識を持って読んでもらえると思います。

当事者意識を持って事前に準備してもらう工夫をしましょう。


★具体的に質問する


そして、意見が出ない3つ目の理由は、何について意見を言えばいいのかわからないからです。

例えば、「ネット広告の量を増やそうと思うけど、どう思う?」という問い掛けは漠然としていて抽象的です。

人は話をする時、具体的に頭の中にイメージができると話がしやすくなりますが、この聞き方では頭にイメージが描けないのです。

この問い掛けを「ネット広告をもっと積極的に使いたい。ターゲットは来店数が少ない40歳代女性に絞ろうと思うけどどうだろう?」と聞けば、出席者も少しイメージしやすくなり意見が言いやすくなるでしょう。

「40歳代の女性」ということばを聞くと、頭の中にどういう感じの人かイメージすることができます。

なので、出席者は「いいと思います」「いや、私はむしろ20歳代の女性にもっとアピールすべきだと思います」など、意見が言いやすくなります。

さらに、そうした発言があれば次に「なぜそう思うの?」と重ねて問いかけてみましょう。

そうすると「私も高額商品を買ってもらえる40歳代の方の来店が少ないのは勿体ないと以前から思ってました」「我々の店の雰囲気は20歳代向けなのでその年代のお客様を増やすべきだと思います」などと話しが広がっていくでしょう。


★意見が言いやすい工夫をする


会議の生産性をあげることは、日本の企業全体の大きな課題だと思っています。

多くの会社で毎日、会議に膨大な時間を費やしています。

この時間を生産的なものにするための工夫をすることで、会社全体の生産性も上がっていくはずです。

今回は会議で意見が出やすくすることについて書きましたが、生産性を上げるためには、会議で分かりやすく端的な発言をすることもとても重要です。

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